Discord(ディスコード)での名誉毀損|発信者情報開示請求の完全ガイド
Discordの開示請求で最も重要なのは「ユーザーID(Snowflake ID)」の保全。表示名やタグは変更可能だが、Snowflake IDは不変。スクショだけでなく開発者モードでIDをコピーすること
Discordでの名誉毀損とは
Discordでの名誉毀損は、サーバー(グループチャット)内の投稿やDMでの発言によって、個人や企業の社会的評価を低下させる行為です。「詐欺師」「犯罪者」などの虚偽事実の摘示だけでなく、「配信者として失格」などの意見表明も名誉毀損に該当する場合があります。Discordの特徴として、サーバー内の投稿は参加者全員に公開されるため「公然性」が認められやすい一方、DM内での発言は公然性の立証が課題となります。
配信者コミュニティのサーバーで「○○は視聴者を騙している詐欺師」「収益を独占している犯罪者」などの投稿がなされるケースです。参加者100人以上のサーバーでは公然性が認められやすく、投稿内容が虚偽である場合は名誉毀損が成立します。
DMでの誹謗中傷は直接的には「公然性」がありませんが、DM内容がスクリーンショットでサーバーに転載された場合、転載者も開示請求の対象となります。「DMだから安全」という認識は誤りです。
Discordの名誉毀損で開示請求が認められる条件
Discord上の名誉毀損で開示請求が認められるためには、①社会的評価を低下させる事実の摘示、②公然性(不特定または多数人が認識可能)、③違法性阻却事由がないこと、④投稿者の特定に必要性があることの4要件を満たす必要があります。Discordの場合、サーバーの参加者数やチャンネルの公開設定が公然性の判断材料となり、Snowflake ID(ユーザーID)の保全が投稿者特定の前提条件です。
サーバーの参加者数が判断の核心です。参加者100人以上のサーバーでは「不特定多数」に該当し公然性が認められます。逆に、5〜10人程度の小規模サーバーでは公然性が否定される可能性があります。
Discordのユーザー識別子であるSnowflake IDは変更不可能であり、開示請求の対象特定に不可欠です。表示名やタグ(#1234など)は変更可能なため、スクリーンショットに加えて開発者モードでIDをコピーして保全することが必須です。
Discord名誉毀損の証拠収集と保全方法
Discordでの証拠収集は、投稿のスクリーンショット、Snowflake IDのコピー、サーバー情報(参加者数・チャンネル設定)、タイムスタンプの記録が基本です。Discordは投稿の編集・削除が可能なため、発見後すぐに証拠を保全する必要があります。特に、開発者モードを有効にしてユーザーIDをコピーする手順は、弁護士に相談する前に必ず実施してください。
Discord設定→詳細設定→開発者モードをONにすると、ユーザー名を右クリックして「IDをコピー」できます。このIDは18桁の数字で、投稿者の一意の識別子となります。スクリーンショットとセットで保存してください。
サーバー名、参加者数、チャンネルの公開設定(全員参加可能か・招待制か)、サーバーIDもスクリーンショットで保存します。公然性の立証に必要な情報です。
Discordでは編集されたメッセージに「(編集済み)」と表示されます。編集前の内容は表示されないため、最初の投稿時点でのスクリーンショットが重要です。削除された場合は、Discord側のログから復元できる可能性があります。
Discord Inc.への開示請求の特殊性
DiscordはDiscord Inc.(米国カリフォルニア州)が運営しており、日本国内の一般的なプロバイダとは手続きが異なります。東京地方裁判所に発信者情報開示命令を申し立て、決定が出た後、英訳された決定書をDiscord Inc.に送達する必要があります。ログ保存期間は90日と短く、早期の対応が求められます。また、Discord側の対応窓口が限定的で、弁護士を通じた正式な手続きが不可欠です。
裁判所の開示命令決定書は日本語で発行されますが、Discord Inc.への送達には英訳が必要です。弁護士が翻訳業者に依頼するのが一般的で、翻訳費用として5〜10万円程度が追加でかかります。
Discordのアクセスログ保存期間は90日です。投稿から時間が経過すると、IPアドレスやタイムスタンプが削除される可能性があります。発見後すぐに弁護士に相談し、ログ保存要請を行うことが重要です。
Discord名誉毀損の損害賠償請求
開示請求で投稿者を特定した後、損害賠償請求(慰謝料・弁護士費用)や刑事告訴(名誉毀損罪)を検討します。Discordでの名誉毀損の慰謝料相場は、一般人で30〜100万円、配信者・インフルエンサーなど公的立場にある人物で50〜200万円程度です。サーバーの規模や投稿の拡散範囲、被害の継続期間によって金額が変動します。
投稿内容の悪質性、サーバーの参加者数、投稿の拡散範囲(他のSNSへの転載など)、被害者の社会的地位、精神的苦痛の程度が考慮されます。配信者コミュニティでの誹謗中傷は影響が大きく、慰謝料も高額化する傾向です。
名誉毀損罪(刑法230条)での告訴も可能です。Discordでの投稿は「公然性」の立証がポイントとなり、サーバーの参加者数が100人以上であれば刑事立件の可能性が高まります。
Discord名誉毀損の開示請求の流れ【4ステップ】
ステップ1: 証拠保全とSnowflake IDの取得
ステップ2: 発信者情報開示命令の申立て
ステップ3: 決定書の英訳とDiscord Inc.への送達
ステップ4: 経由プロバイダへの開示請求と投稿者特定
この組み合わせのポイント
- 開発者モードでSnowflake ID(18桁の数字)を取得することが投稿者特定の前提条件
- サーバーの参加者数が100人以上であれば「公然性」が認められやすく、小規模サーバーでは争点になる
- 米国法人Discord Inc.への送達には英訳された決定書が必要で、翻訳費用5〜10万円が追加でかかる
- ログ保存期間が90日と短いため、発見後すぐに弁護士に相談してログ保存要請を行うことが重要
- DM内の誹謗中傷がスクリーンショットでサーバーに転載された場合、転載者も開示対象となる