LINEオープンチャットの侮辱・暴言、開示請求で犯人を特定できるか
LINEオープンチャットの侮辱は「誰が書いたか分からない」と思われがちだが、投稿時刻・文体・メンバーリストから犯人を絞り込める。さらに、LINEは携帯電話番号と紐づいているため、開示請求で電話番号が判明すれば本人特定が極めて容易。SNSの中で最も「匿名性が低い」プラットフォーム。
LINEオープンチャット 侮辱での開示請求、2022年厳罰化の影響
2022年7月7日の侮辱罪厳罰化により、法定刑が「拘留・科料」から「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」に引き上げられました。これにより、LINEオープンチャットでの侮辱行為も「権利侵害の明白性」が認められやすくなっています。特にLINEオープンチャットは、不特定多数の参加者がいるグループチャットであるため「公然と」の要件を満たしやすく、開示が認められる傾向にあります。少人数のクローズドなチャットであっても、3名以上の参加者がいれば「公然性」が認められた判例があります。
LINEオープンチャットの「公然性」とは?
侮辱罪が成立するには「公然と」(不特定または多数の人が認識できる状態で)侮辱する必要があります。LINEオープンチャットは、(1)誰でも参加可能なオープンチャット(参加者数が数百〜数千人規模)の場合は明らかに「公然性」あり、(2)招待制や検索に出ないクローズドなオープンチャットでも、参加者が3名以上いれば「多数」として認められる可能性があります。裁判例では、2名だけのDMは「公然性」なしとされますが、3名以上のグループチャットは「公然性」ありと判断される傾向にあります。
1回の暴言でも開示請求できる?継続性は必要?
法的には1回の侮辱でも開示請求は可能ですが、実務的には投稿の悪質性と継続性が重要です。LINEオープンチャットでは、(1)「死ね」「殺す」等の極めて悪質な表現、(2)同じ相手に対して繰り返し暴言を投稿している、(3)他の参加者を巻き込んで集団で攻撃している、といった場合に開示が認められやすくなります。単発の「バカ」程度では難しいですが、文脈全体で判断されます。
LINEオープンチャット 侮辱の開示請求の費用と損害賠償の相場
費用は弁護士費用30〜60万円が相場です。侮辱の損害賠償額は10万〜100万円程度で、名誉毀損(50万〜300万円)より低い傾向にあります。ただし、(1)侮辱が長期間・多数回にわたる場合、(2)投稿によって精神疾患を発症した場合(診断書が必要)、(3)オープンチャットの参加者が多数で、多くの人に閲覧された場合、は増額される可能性があります。LINEヤフーが国内企業であるため、手続きが海外SNSより早く、弁護士費用が若干抑えられるケースもあります。
LINEオープンチャットの侮辱で警察は動く?
侮辱罪は刑事罰の対象であり、警察への被害届提出が可能です。2022年の厳罰化により、警察も侮辱事案への対応を強化しています。ただし、警察は「民事不介入」の原則があるため、損害賠償の請求はできません。理想的な対応は、(1)警察に被害届を提出(刑事手続き)、(2)弁護士に開示請求を依頼(民事手続き)、の両面から進めることです。
LINEオープンチャットで「荒らし」行為に遭った場合の対処法
LINEオープンチャットでは、特定の参加者が暴言を繰り返し投稿する「荒らし」行為が問題になることがあります。荒らし行為への対処は、(1)管理者・副管理者に通報して除名を依頼、(2)スクリーンショットで証拠を保全、(3)複数回の侮辱投稿がある場合は開示請求を検討、(4)警察への相談(サイバー犯罪相談窓口)、という順序で進めます。1回の暴言では開示が難しくても、継続的な荒らし行為であれば開示が認められる可能性が高まります。
管理者が荒らしを放置した場合の責任は?
管理者が荒らし行為を認識していたにもかかわらず除名等の対応をしなかった場合、管理者も「場の提供者としての管理責任」を問われる可能性があります。参加者から通報を受けたのに放置した場合は特に責任が重くなります。管理者は、荒らし投稿を発見したら速やかに削除・除名の対応を取るべきです。
LINEオープンチャット 侮辱で開示請求が難しいケース
以下のケースでは開示請求が難しくなります。(1)投稿の対象者が特定できない場合(誰に向けた暴言かわからない)、(2)投稿が社会通念上許容される範囲の批判に留まる場合、(3)チャットログの保存期間を過ぎている場合、(4)オープンチャットが削除され、証拠が残っていない場合。LINEオープンチャットでは参加者がニックネームであるため、「投稿が被害者本人に向けたものである」ことの立証(同定可能性)が特に重要になります。
LINEオープンチャット 侮辱の開示請求の流れ【4ステップ】
証拠保全(スクリーンショット)
侮辱的な投稿のスクリーンショットを保存します。投稿日時、投稿者のニックネーム、前後の文脈(誰に向けた発言かがわかる流れ)、チャットルームの情報を含めて複数枚保存しましょう。
弁護士相談(侮辱での開示の見通し確認)
インターネット上の誹謗中傷に詳しい弁護士に相談し、侮辱での開示が認められる見通しがあるか判断してもらいます。侮辱は損害賠償額が低い傾向があるため、費用対効果についても相談しましょう。
発信者情報開示命令の申立て(LINEヤフー宛て)
東京地方裁判所にLINEヤフー株式会社を相手方として開示命令を申し立てます。侮辱の悪質性(表現の程度、回数、継続期間等)を丁寧に主張します。
投稿者特定と損害賠償・刑事告訴
開示されたIPアドレスからプロバイダに契約者情報を求め、投稿者を特定します。慰謝料の請求(10万〜100万円)に加え、悪質な場合は侮辱罪での刑事告訴も可能です。
この組み合わせのポイント
- 2022年侮辱罪厳罰化により、LINEオープンチャットでの暴言も開示が認められやすくなった
- オープンチャットは匿名性が高いが、LINEヤフーには投稿者情報が記録されており特定可能
- 参加者が3名以上のグループチャットであれば「公然性」が認められる傾向
- 荒らし行為(継続的な侮辱投稿)は、1回の暴言より開示が認められやすい
- 管理者が荒らしを放置すると、管理者も責任を問われる可能性がある
よくある質問
はい、開示請求できます。「死ね」は侮辱罪に該当し、場合によっては脅迫罪にも該当する可能性があります。スクリーンショットで証拠を保存し、弁護士に相談してください。2022年の侮辱罪厳罰化により、以前よりも開示が認められやすくなっています。
オープンチャットは参加者同士では匿名ですが、LINEヤフー側には投稿者のLINEアカウント情報、IPアドレス、端末情報が記録されています。裁判所の開示命令により、まずLINEヤフーからIPアドレスを開示してもらい、次にそのIPアドレスを使ったプロバイダ(ドコモ、au、ソフトバンク等)に契約者情報を照会することで、投稿者の氏名・住所を特定します。
はい、可能です。招待制のオープンチャットであっても、参加者が3名以上いれば「公然性」が認められ、侮辱罪が成立する可能性があります。参加者数が少ないクローズドなチャットでも、証拠が揃っていれば開示請求は可能です。