Twitter(X)の名誉毀損、開示請求で犯人を特定する方法
Twitter(X)は日本法人(X Japan合同会社)ができたことで開示のハードルが劇的に下がった。名誉毀損×Twitterは現在最も「勝ちパターン」が確立されている組み合わせ。
Twitter(X) 開示請求の成功率はどれくらい?
Twitter(X)での名誉毀損に対する開示請求の成功率は、証拠が十分に揃っていれば70〜80%程度とされています。名誉毀損は「具体的な事実の摘示により社会的評価を低下させた」という要件が明確なため、裁判所も判断しやすい類型です。ただし、投稿が「意見・論評」に留まる場合や、公共の利害に関する事実である場合は、開示が認められないこともあります。
開示請求が失敗するケースとは?
失敗の主な原因は3つあります。(1)ログ保存期間(約90日)を過ぎてしまった場合、(2)投稿が特定の個人・法人に向けられたものと認定されなかった場合(「同定可能性」の欠如)、(3)投稿内容が「事実の摘示」ではなく「意見・感想」と判断された場合です。特にTwitterでは匿名アカウントによる投稿が多いため、「誰のことを言っているか」が客観的にわかるかどうかが重要な争点になります。
なりすましアカウントからの名誉毀損の場合
自分になりすましたアカウントから名誉毀損の投稿がされた場合、なりすまし行為自体がアイデンティティ権の侵害として開示請求の根拠になります。さらに、なりすましによって発信された虚偽の情報による名誉毀損も加わるため、複合的な権利侵害として開示が認められやすくなります。
Twitter(X) 開示請求の費用相場と内訳
Twitter(X)での名誉毀損に対する開示請求の費用は、弁護士費用として着手金20〜40万円、成功報酬10〜20万円が一般的です。これに加えて、裁判所への申立て費用(印紙代・郵券代)として2〜3万円程度がかかります。合計で30〜60万円程度を見込む必要があります。ただし、証拠が明確に揃っていれば弁護士の作業量が減り、費用を抑えられる可能性があります。
着手金0円・成功報酬型の弁護士はいる?
一部の法律事務所では「着手金0円・完全成功報酬型」のプランを提供していますが、成功報酬の割合が高くなるため、トータルコストは必ずしも安くなりません。また、開示請求が認められても損害賠償請求は別途費用がかかる点に注意が必要です。費用の内訳を事前にしっかり確認しましょう。
アカウント削除された場合でも開示請求できる?
結論から言えば、ログ保存期間内(約90日)であれば、投稿者がアカウントを削除した後でも開示請求は可能です。Twitter(X)はアカウント削除後も一定期間はログデータを保持しています。ただし、アカウント削除によってログの保存期間が短縮される可能性もあるため、相手がアカウントを消したことに気づいたら、すぐに弁護士に相談し、証拠保全の手続きを進めることが重要です。
投稿が削除されていた場合は?
アカウントは残っているが投稿だけが削除された場合も同様です。投稿の削除前にスクリーンショットを保存していれば、それが証拠として使えます。スクリーンショットがない場合でも、URLやキャッシュから復元できる可能性があります。Googleのキャッシュ、Wayback Machine(Internet Archive)、魚拓サービスなどを確認しましょう。
Twitter(X) 開示請求の期間とタイムリミット
Twitter(X)のログ保存期間は約90日です。投稿日から90日を過ぎると、IPアドレスなどのログデータが削除され、犯人の特定が極めて困難になります。2022年の法改正により手続きは簡素化されましたが、それでも開示命令の発令までに1〜2ヶ月はかかるため、投稿を見つけたらすぐに行動を開始する必要があります。
ログ保存期間を過ぎてしまったら?
ログ保存期間を過ぎた場合、通常の開示請求では特定が困難になります。ただし、(1)投稿者が同じアカウントで新しい投稿をしている場合、その新しい投稿のログから特定できる可能性がある、(2)投稿のスクリーンショットや他の状況証拠から、投稿者を推定できる場合がある、といった代替手段が残されています。
鍵垢(非公開アカウント)からの投稿は?
鍵アカウント(非公開アカウント)からの投稿であっても、フォロワーが閲覧できる以上、「公然と」の要件を満たす可能性があります。フォロワー数が一定数以上であれば、名誉毀損として開示が認められた判例もあります。鍵垢だからといって諦める必要はありません。
Twitter(X)で開示請求された側の対処法
開示請求を受けた場合、Twitter(X)から「発信者情報開示に係る意見照会書」が届きます。この意見照会に対して「開示に同意しない」と回答することは可能ですが、裁判所が開示を命じれば情報は開示されます。身に覚えがある場合は、開示前に被害者との示談交渉を弁護士を通じて行うことで、訴訟リスクを軽減できる場合があります。
Twitter(X) 名誉毀損の開示請求の流れ【4ステップ】
証拠保全
投稿のスクリーンショット(URL・日時・投稿者アカウント名を含む)を保存します。投稿が削除される前に、複数の方法でスクリーンショットを取得しておきましょう。ブラウザの「ページ全体のスクリーンショット」機能が便利です。
弁護士に相談
インターネット上の誹謗中傷に詳しい弁護士に相談します。証拠を見せて、開示請求の見通し・費用・期間について説明を受けましょう。多くの法律事務所が初回無料相談を提供しています。
発信者情報開示命令の申立て
2022年改正法に基づく「発信者情報開示命令」を東京地方裁判所に申し立てます。従来はTwitter社への仮処分とプロバイダへの訴訟の2段階が必要でしたが、改正法により1回の手続きで完結します。X Japan合同会社(日本法人)を相手方として申立てが可能です。
投稿者の特定と損害賠償請求
開示された情報(IPアドレス・メールアドレス等)をもとに、プロバイダに対して契約者情報の開示を求めます。投稿者が特定できたら、損害賠償請求(名誉毀損の場合、50万〜300万円が相場)や刑事告訴を検討します。
この組み合わせのポイント
- ログ保存期間が約90日と短く、SNSの中でも最も緊急性が高いプラットフォーム
- 2022年法改正で日本法人(X Japan合同会社)経由の手続きが可能になり、以前より大幅にスピードアップ
- 名誉毀損は開示認容率が最も高い類型で、Twitter×名誉毀損は最も標準的な開示請求パターン
- リツイート(リポスト)の拡散による被害の拡大が認められれば、損害賠償額が増額される傾向
- 投稿者がアカウントを削除・鍵垢にしても、期間内なら開示可能
よくある質問
弁護士費用として合計30〜60万円程度が一般的です(着手金20〜40万円+成功報酬10〜20万円)。裁判所費用として別途2〜3万円がかかります。ただし、開示後の損害賠償で50〜300万円の慰謝料を請求できるため、費用を回収できるケースも多いです。
ツイートの削除前にスクリーンショットを撮っていれば、それが証拠になります。また、ログ保存期間(約90日)以内であれば、ツイートが削除されてもIPアドレスなどのログデータはTwitter側に残っている可能性があります。Googleキャッシュや魚拓サービスでの復元も検討しましょう。
はい、リツイート(リポスト)であっても名誉毀損に該当する可能性があります。最高裁判例(令和2年)では、リツイートが元の投稿を自らの発言として発信したものと評価される場合があることが示されています。ただし、リツイートのみの場合は元の投稿者への開示請求を優先するのが一般的です。