2022年改正プロバイダ責任制限法 対応
最終更新: 2026年4月4日
誹謗中傷の慰謝料相場|ネット名誉毀損で請求できる金額【2026年最新】
ネットの誹謗中傷に対して「慰謝料はどのくらい請求できるのか」——これは被害者にとって最も切実な疑問です。本記事では、権利侵害の類型別に慰謝料の相場を一覧表で解説し、個人と法人での違い、慰謝料を増額できるケース、費用倒れを防ぐ判断基準まで網羅します。
誹謗中傷の慰謝料相場の全体像
ネットでの誹謗中傷に対する慰謝料は、侵害される権利の種類によって相場が大きく異なります。以下が大まかな目安です。
| 権利侵害の類型 | 個人の場合 | 法人の場合 |
|---|---|---|
| 名誉毀損 | 10万〜100万円 | 50万〜300万円 |
| 侮辱 | 1万〜30万円 | 10万〜50万円 |
| プライバシー侵害 | 10万〜80万円 | 30万〜100万円 |
| 肖像権侵害 | 10万〜50万円 | ー |
| 営業妨害(信用毀損) | ー | 50万〜500万円 |
注意: 本記事は一般的な法的情報の提供を目的としており、法律相談ではありません。具体的な事案については弁護士にご相談ください。慰謝料の金額は個別の事情により大きく変動します。
権利侵害類型別の慰謝料相場表
名誉毀損の慰謝料
名誉毀損は、具体的な事実を摘示して他人の社会的評価を低下させる行為です。誹謗中傷の中で最も多い類型です。
| 被害の程度 | 慰謝料の目安 | 具体例 |
|---|---|---|
| 軽度 | 10万〜30万円 | 匿名掲示板での1回限りの投稿、閲覧数が少ない |
| 中度 | 30万〜80万円 | SNSで拡散された虚偽の投稿、実名が特定されている |
| 重度 | 80万〜150万円 | 繰り返しの投稿、就職・結婚への実害が発生 |
| 特に悪質 | 150万〜300万円以上 | 犯罪の被疑者であるかのような虚偽投稿、生命への脅迫を伴う |
侮辱の慰謝料
侮辱は、具体的な事実を摘示せずに他人を蔑む行為です。名誉毀損よりも慰謝料は低額になる傾向があります。2022年の法改正で侮辱罪の法定刑が引き上げられましたが、民事の慰謝料相場への大きな変化はまだ見られていません。
| 被害の程度 | 慰謝料の目安 | 具体例 |
|---|---|---|
| 軽度 | 1万〜10万円 | 「バカ」「アホ」等の1回限りの投稿 |
| 中度 | 10万〜20万円 | 容姿や障害に対する侮辱的投稿が拡散 |
| 重度 | 20万〜30万円 | 執拗な侮辱の繰り返し、精神的苦痛が大きい |
プライバシー侵害の慰謝料
| 侵害された情報 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 住所・電話番号の暴露 | 10万〜50万円 |
| 病歴・前科の暴露 | 30万〜80万円 |
| 性的な私生活の暴露 | 50万〜100万円 |
| リベンジポルノ | 100万〜200万円以上 |
個人 vs 法人の慰謝料の違い
| 比較項目 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 慰謝料の名目 | 慰謝料(精神的苦痛) | 信用毀損による損害賠償 |
| 一般的な金額帯 | 10万〜100万円 | 50万〜300万円 |
| 立証のしやすさ | 精神的苦痛は推定される | 実損の立証が必要な場合あり |
| 高額化の条件 | 社会生活への実害 | 売上減少・顧客離れの立証 |
| 逸失利益の請求 | 困難(失職等の場合は可能) | 売上減少の因果関係を立証すれば可能 |
慰謝料を増額できるケース
| 増額要因 | 増額の目安 | 具体例 |
|---|---|---|
| 執拗性(繰り返し投稿) | 1.5〜2倍 | 同一投稿者による10件以上の投稿 |
| 拡散範囲が広い | 1.3〜2倍 | SNSで1万件以上のリポスト/共有 |
| 被害者の社会的地位 | 1.5〜3倍 | 医師、弁護士、企業経営者 |
| 虚偽性が明白 | 1.5〜2倍 | 完全なデマ・捏造であることが立証 |
| 実害の発生 | 2〜5倍 | 失職、内定取消、離婚、売上減少 |
| 投稿者の悪意 | 1.5〜2倍 | 嫌がらせ目的が明白、脅迫を伴う |
主要な判例一覧
以下は近年の代表的な判例です。実際の認容額の参考にしてください。
| 年 | 概要 | 侵害類型 | 認容額 |
|---|---|---|---|
| 2023 | SNSでの虚偽の犯罪歴投稿(個人) | 名誉毀損 | 130万円 |
| 2023 | 口コミサイトでの虚偽レビュー(法人) | 信用毀損 | 200万円 |
| 2024 | 掲示板での個人情報暴露 | プライバシー | 60万円 |
| 2024 | SNSでの繰り返しの侮辱投稿 | 侮辱 | 33万円 |
| 2025 | 動画サイトでのリベンジポルノ | プライバシー | 180万円 |
| 2025 | 飲食店への虚偽の衛生問題投稿 | 信用毀損 | 150万円 |
注意: 判例は個別の事案に対する判断であり、同様の事実関係でも結果が異なる場合があります。正確な見通しは弁護士にご確認ください。
費用倒れの判断基準
誹謗中傷の被害を受けた場合、「開示請求の費用 + 訴訟費用」と「回収できる慰謝料」を比較して、費用倒れにならないか事前に判断することが重要です。
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 開示請求(投稿者特定) | 30万〜70万円 |
| 損害賠償訴訟の弁護士費用 | 20万〜40万円 |
| 合計費用 | 50万〜110万円 |
費用倒れになりやすいケース
| ケース | 見込み慰謝料 | 費用倒れリスク | 判断 |
|---|---|---|---|
| 1回限りの侮辱投稿 | 5万〜15万円 | 非常に高い | 請求しない方が合理的 |
| 掲示板での名誉毀損(単発) | 20万〜50万円 | 高い | 示談を優先、訴訟は慎重に |
| SNSでの拡散された名誉毀損 | 50万〜100万円 | 低い〜中程度 | 請求を検討する価値あり |
| 法人への信用毀損 | 100万〜300万円 | 低い | 積極的に請求すべき |
詳しい費用の内訳は開示請求の費用をご覧ください。開示請求にかかる期間については開示請求の期間で解説しています。
費用倒れを防ぐためのポイント
| ポイント | 具体的な方法 |
|---|---|
| 初回相談で見通しを確認 | 多くの法律事務所は初回相談無料。慰謝料の見込み額と費用を事前に確認する |
| 新制度(開示命令)を活用 | 2022年法改正で新設された制度は手続きが1回で済み、費用を10〜20万円削減できる |
| 投稿の削除請求も並行 | 慰謝料請求とは別に、投稿の削除を求めることで被害の拡大を防ぐ |
| 弁護士費用の一部回収 | 損害賠償が認められた場合、弁護士費用の約10%を相手に請求可能 |
| 証拠保全を徹底 | プロバイダのログが消える前に証拠保全を行う。詳細は証拠保全の方法を参照 |
プラットフォーム別の慰謝料傾向
投稿されたプラットフォームによっても、慰謝料の傾向が異なります。
| プラットフォーム | 拡散性 | 慰謝料への影響 | 備考 |
|---|---|---|---|
| X(旧Twitter) | 非常に高い | 拡散による増額あり | リポスト数が増額の根拠に |
| 高い | 画像・動画による被害は増額傾向 | ストーリーは証拠保全が急務 | |
| 5ch / 爆サイ | 中程度 | 検索エンジンへの残存で増額も | 匿名性が高く特定費用がかかる |
| Googleクチコミ | 高い(検索結果に直結) | 法人の場合は信用毀損で高額に | 営業への直接的影響を立証しやすい |
| YouTube | 非常に高い | 動画の場合は高額傾向 | 再生回数が被害の広範性の証拠に |
| LINE/メール | 低い(限定的) | 拡散なしのため減額傾向 | ただし脅迫を伴う場合は別 |
慰謝料請求の流れ
| ステップ | 内容 | 期間の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 証拠保全 | 投稿のスクリーンショット・URL保存 | 即日 | 0円 |
| 2. 弁護士相談 | 見通し・費用の確認 | 1〜2日 | 0〜1万円 |
| 3. 開示請求 | 投稿者の特定 | 3〜9ヶ月 | 30〜70万円 |
| 4. 示談交渉 | 投稿者との直接交渉 | 1〜3ヶ月 | 5〜15万円 |
| 5. 訴訟(示談不成立時) | 損害賠償請求訴訟 | 6〜12ヶ月 | 20〜40万円 |
証拠保全の具体的な方法は証拠保全の方法で詳しく解説しています。
慰謝料以外に請求できるもの
誹謗中傷の被害では、慰謝料(精神的損害の賠償)だけでなく、以下のような損害も請求できる場合があります。
| 損害の種類 | 内容 | 金額の目安 | 立証の難易度 |
|---|---|---|---|
| 調査費用(開示請求費用) | 投稿者特定のためにかかった費用 | 実費の全額〜一部 | 低い(領収書で立証) |
| 弁護士費用の一部 | 認容額の約10% | 慰謝料の10%程度 | 低い |
| 逸失利益 | 売上減少・失職による収入減 | 事案による | 高い(因果関係の立証が必要) |
| 治療費 | 精神科・心療内科の通院費 | 実費 | 中程度(診断書が必要) |
| 削除費用 | 投稿の削除にかかった費用 | 実費 | 低い |
ポイント: 調査費用(開示請求費用)と弁護士費用の一部は、損害賠償訴訟で回収できる可能性があります。これにより、実質的な自己負担を軽減できます。具体的な回収見込みは弁護士にご確認ください。
示談 vs 訴訟の比較
| 比較項目 | 示談 | 訴訟 |
|---|---|---|
| 解決までの期間 | 1〜3ヶ月 | 6〜12ヶ月 |
| 弁護士費用 | 5〜15万円 | 20〜40万円 |
| 金額の柔軟性 | 高い(交渉次第で相場以上も) | 低い(裁判所の相場内) |
| 確実性 | 相手が応じない場合もある | 判決で強制力あり |
| 精神的負担 | 比較的少ない | 大きい(出廷・証拠提出) |
| 再発防止効果 | 示談条項に含める | 判決の事実上の抑止力 |
よくある質問
Q
誹謗中傷の慰謝料はどのくらいもらえますか?
A
個人の名誉毀損の場合、10万〜100万円が相場です。侮辱の場合は1万〜30万円と低めです。法人の場合は50万〜300万円と高額になる傾向があります。ただし、実際の金額は侵害の程度、拡散範囲、被害者の属性によって大きく変動します。
Q
慰謝料を請求するには弁護士が必要ですか?
A
少額の慰謝料(30万円以下)であれば、少額訴訟(60万円以下)や本人訴訟で対応できる場合もあります。ただし、開示請求を経て投稿者を特定する必要がある場合は弁護士への依頼が事実上必須です。開示請求自体に法律の専門知識が必要であり、個人での手続きは認容率が大幅に低下します。
Q
慰謝料と開示請求費用を合わせると費用倒れになりませんか?
A
費用倒れのリスクは確かにあります。開示請求費用30〜70万円に対し、慰謝料が10〜50万円にとどまるケースでは赤字になります。費用倒れを防ぐ目安として、「見込み慰謝料 + 弁護士費用の一部回収額 > 開示請求費用 + 訴訟費用」が成立するかを事前に試算してください。本記事の判断基準フローが参考になります。
Q
匿名の投稿者に対して慰謝料を請求できますか?
A
はい、可能です。ただし発信者情報開示請求で投稿者を特定する必要があります。開示請求が認められると、プロバイダから投稿者の氏名・住所が開示されるため、その情報をもとに損害賠償請求訴訟を提起できます。開示請求の詳細は開示請求の費用をご覧ください。
Q
慰謝料の増額が認められやすいケースはどのようなものですか?
A
繰り返しの投稿(執拗性)、不特定多数への拡散(被害の広範性)、被害者の社会的地位への影響(企業経営者、医師等の場合)、投稿者の悪意が明白(脅迫を伴う場合等)が認められると増額されやすいです。逆に、投稿が1回限りで拡散が限定的な場合は減額される傾向があります。
Q
示談と訴訟ではどちらが得ですか?
A
金額面では示談の方が有利な場合が多いです。訴訟になると裁判所が相場の範囲内で判断するため、高額な認容は難しくなります。一方、示談では相手の「早期解決したい」という心理が働くため、相場より高い金額で合意できるケースもあります。ただし、相手が示談に応じない場合は訴訟が必要になります。
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