2022年改正プロバイダ責任制限法 対応 最終更新: 2026年4月4日

プロバイダのログ保存期間一覧|開示請求のタイムリミットまとめ【2026年最新】

誹謗中傷の投稿者を特定するには、プロバイダが通信ログを保存している期間内に開示請求を行う必要があります。しかし、ログの保存期間はプロバイダによって異なり、最短で3ヶ月程度で消去されてしまうことも。本記事では、主要ISP15社、携帯キャリア、MVNOのログ保存期間を一覧で解説し、タイムリミットを逃さないための対策を紹介します。

ログ保存期間とは?なぜ重要か

プロバイダのログ保存期間とは、インターネットの通信記録(IPアドレスと契約者情報の紐づけ)をプロバイダが保存している期間のことです。

誹謗中傷の投稿者を特定する開示請求は、以下の2段階で行われます。

段階 内容 ログの必要性
第1段階 サイト管理者へIPアドレスの開示請求 サイト側のアクセスログが必要
第2段階 プロバイダへ契約者情報の開示請求 プロバイダの通信ログが必要

第2段階でプロバイダのログが消えていると、IPアドレスがわかっても契約者を特定できなくなります。これが「ログ保存期間が開示請求のタイムリミット」と言われる理由です。

重要: 本記事の保存期間は各プロバイダの公表情報や実務上の経験値に基づくものであり、予告なく変更される場合があります。正確な情報は弁護士に確認してください。また、本記事は一般的な法的情報の提供を目的としており、法律相談ではありません。

主要ISP 15社のログ保存期間一覧

以下は主要なISP(インターネットサービスプロバイダ)のログ保存期間一覧です。保存期間は目安であり、実際の保存状況はプロバイダの運用方針により異なります。

プロバイダ ログ保存期間(目安) 備考
OCN(NTTコミュニケーションズ) 約3〜6ヶ月 最大手ISP。ログ保全請求に比較的協力的
BIGLOBE 約3〜6ヶ月 KDDIグループ
@nifty(ニフティ) 約3ヶ月 保存期間がやや短い傾向
So-net(ソニーネットワーク) 約3〜6ヶ月 NUROユーザーも同様
plala(NTTぷらら) 約3〜6ヶ月 NTTドコモに統合
au one net 約3〜6ヶ月 KDDIグループ
Yahoo! BB 約3ヶ月 SoftBankグループ
J:COM 約3〜6ヶ月 CATV系ISP最大手
GMOとくとくBB 約3ヶ月 WiMAX等のモバイル回線も同様
DTI 約3ヶ月 保存期間が短い傾向
ASAHIネット 約3〜6ヶ月 比較的安定して保存
IIJ(インターネットイニシアティブ) 約6ヶ月 法人向けも展開。保存期間は比較的長め
楽天ひかり 約3ヶ月 楽天モバイルのログとは別管理
eo光(オプテージ) 約3〜6ヶ月 関西圏が中心
コミュファ光 約3〜6ヶ月 中部圏が中心。KDDIグループ

携帯キャリア別ログ保存期間

キャリア ログ保存期間(目安) 備考
NTTドコモ 約3〜6ヶ月 spモードのログ。ahamo含む
au(KDDI) 約3〜6ヶ月 povo含む
SoftBank 約3ヶ月 やや短い傾向。LINEMO含む
楽天モバイル 約3ヶ月 第4キャリア。ログ保存に関する事例が少ない

MVNO(格安SIM)のログ保存期間

MVNOは回線設備を自社で持たないため、ログの保存状況が不透明な場合があります。回線の種類によっては、借り先のキャリアのログに依存するケースもあります。

MVNO 回線元 ログ保存期間(目安) 備考
IIJmio ドコモ/au 約3〜6ヶ月 IIJ自体がISPのため保存体制は整っている
mineo ドコモ/au/SB 約3ヶ月 オプテージ運営
OCNモバイルONE ドコモ 約3〜6ヶ月 NTTコミュニケーションズ運営
UQモバイル au 約3〜6ヶ月 KDDIのサブブランド
Y!mobile SoftBank 約3ヶ月 SoftBankのサブブランド
BIGLOBEモバイル ドコモ/au 約3ヶ月 KDDIグループ
日本通信SIM ドコモ 不明(短い可能性) ログ保存に関する事例が少ない

投稿からのタイムライン

投稿が行われてから、各段階でのタイムリミットを時系列で示します。

経過時間 状況 必要なアクション
投稿直後〜1週間 サイト側ログ・プロバイダログともに残っている 証拠保全(スクリーンショット)、弁護士相談
1〜4週間 ログは残っているが時間は限られている 弁護士への正式依頼、ログ保全請求の送付
1〜2ヶ月 サイト側へのIP開示請求を進行中 並行してプロバイダへのログ保全請求
3ヶ月 一部プロバイダのログが消え始める ログ保全が未了なら緊急対応が必要
6ヶ月 大半のプロバイダのログが消える この時点でログが残っていなければ特定は困難

ログが消えた場合の対処法

対処法 内容 成功可能性
サイト側の他の情報から特定 メールアドレス、アカウント情報などから追跡 中程度
同一人物の他の投稿を調査 より新しい投稿のIPアドレスからログが残っている可能性 中程度
刑事告訴 捜査機関はプロバイダに対してより強力な権限を持つ 低〜中程度
投稿の削除請求に切り替え 投稿者特定は断念し、投稿の削除のみを求める 高い

ログ保全請求の方法

ログ保全請求とは、プロバイダに対して通信ログの消去を一時的に停止するよう求める手続きです。開示請求の準備に時間がかかる場合に、ログが消去されるのを防ぐ効果があります。

項目 内容
請求方法 弁護士を通じた書面送付(FAXまたは郵送)
法的根拠 プロバイダ責任制限法(総務省ガイドライン準拠)
法的強制力 なし(任意の協力要請)。ただし多くのプロバイダは応じる
保全期間 通常2〜3ヶ月。延長が必要な場合は再請求
費用 弁護士に依頼する場合は数万円程度
タイミング 投稿を発見したらできるだけ早く。開示命令申立てと並行して行う

ログ保全請求は法的強制力がないため、開示命令の申立てを速やかに行い、裁判所からプロバイダにログの保全命令を出してもらうのが最も確実です。2022年の法改正で新設された発信者情報開示命令はスピードが速く、ログ消去リスクの軽減に寄与しています。

SNS・プラットフォーム側のログ保存期間

開示請求の第1段階では、投稿が行われたSNSやサイトの管理者にIPアドレスの開示を求めます。プラットフォーム側のログ保存期間も把握しておく必要があります。

プラットフォーム アクセスログ保存期間(目安) 開示請求への対応 備考
X(旧Twitter) 約6ヶ月〜 裁判手続きが必要 米国法人への送達が必要で時間がかかる
Instagram 約3〜6ヶ月 裁判手続きが必要 Meta社。ストーリーは24時間で消えるが、ログは一定期間保存
YouTube 約6ヶ月〜 裁判手続きが必要 Google社。比較的長期間保存の傾向
5ch(5ちゃんねる) 約3ヶ月 任意開示に応じるケースあり 保存期間が短い。Jimが管理
爆サイ 約3ヶ月 任意開示に応じるケースあり 保存期間が短い。早期対応が特に重要
Googleマップ(クチコミ) 約6ヶ月〜 裁判手続きが必要 Google社。投稿者のGoogleアカウント情報を保持
TikTok 約3〜6ヶ月 裁判手続きが必要 ByteDance社。データの所在地が問題になるケースも
FC2ブログ 約3ヶ月 裁判手続きが必要 米国法人。ログ保存期間が比較的短い
WordPress.com 約6ヶ月〜 裁判手続きが必要 Automattic社。セルフホスト版は対象外
ポイント: プラットフォーム側のログとプロバイダ側のログは別物です。開示請求は「プラットフォームのログからIPアドレスを取得→プロバイダのログからIPアドレスの契約者を特定」という2段階で進むため、両方のログが保存されている期間内に手続きを完了する必要があります。

2022年法改正でログ保存期間問題はどう変わったか

2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法は、ログ保存期間の問題に対しても大きな改善をもたらしました。

項目 旧制度 新制度(開示命令)
手続きの回数 2回(仮処分+訴訟) 1回(開示命令)
所要期間 6〜12ヶ月 3〜6ヶ月
ログ消去リスク 高い(手続き中にログが消える) 低い(裁判所からの提供命令で保全)
費用 30〜70万円 20〜50万円(削減の傾向)
ログ保全の確実性 任意の保全請求のみ 裁判所の提供命令で確実性向上

新制度の最大のメリットは、手続き期間の短縮によりログが消える前に手続きを完了できる可能性が高まったことです。詳しくは開示請求の期間をご覧ください。

タイムリミットに間に合わせるための5つのポイント

ポイント 具体的なアクション 効果
1. 証拠保全は即日 スクリーンショット(URL・日時が写るように)を保存 投稿が削除されても証拠が残る
2. 弁護士相談は1週間以内 ネット誹謗中傷に強い弁護士に初回相談 対応方針と期限が明確になる
3. ログ保全請求は2週間以内 弁護士を通じてプロバイダにログ保全を要請 ログ消去を一時的に停止
4. 新制度(開示命令)を活用 旧制度より迅速な手続きを選択 手続き期間の短縮(6〜9ヶ月→3〜6ヶ月)
5. 複数の投稿がある場合は最新の投稿で対応 最も新しい投稿のIPアドレスで開示請求 ログが残っている可能性が最も高い

詳しい証拠保全の方法は証拠保全の方法をご覧ください。開示請求にかかる費用は開示請求の費用、期間は開示請求の期間で詳しく解説しています。

特殊なケースのログ保存

VPN、公衆Wi-Fi、海外サーバーなど、通常のISP/キャリアとは異なるケースでのログ保存状況をまとめます。

ケース ログ保存の状況 投稿者特定の難易度 対策
VPN経由の投稿 多くのVPNが「ノーログポリシー」 非常に高い VPN以外の手がかり(アカウント情報等)を探す
公衆Wi-Fi経由 数日〜数週間(施設による) 高い 施設管理者にログ保全を早急に要請
Tor経由の投稿 ログなし(設計上) 極めて高い(事実上不可能) 刑事告訴して捜査機関に委ねる
海外ISP経由 国によって大きく異なる 高い 国際司法共助が必要になるケースも
テザリング経由 キャリアのログに依存 中程度 テザリング元のキャリアに開示請求
会社・学校のネットワーク 組織のポリシーによる(通常は長期間) 中〜低い 組織のネットワーク管理者に照会

開示請求のタイムリミット対策チェックリスト

タイミング チェック項目 重要度
投稿発見直後 スクリーンショット(URL・日時込み)を保存した 必須
投稿ページのHTMLソースを保存した 推奨
投稿の魚拓(archive.org等)を取得した 推奨
1週間以内 弁護士に初回相談した 必須
投稿者のISP/キャリアを推定した 推奨
2週間以内 弁護士に正式依頼した 必須
プロバイダへのログ保全請求を送付した 必須
1ヶ月以内 開示命令の申立て(または仮処分申立て)を行った 必須
3ヶ月以内 IP開示結果を受けてプロバイダへの開示請求を開始した 必須

よくある質問

Q プロバイダのログ保存期間はなぜ重要なのですか?
A
開示請求で投稿者を特定するためには、プロバイダが通信ログを保存している期間内に手続きを完了する必要があります。ログが消えると、IPアドレスから契約者を特定できなくなり、開示請求が物理的に不可能になります。つまり、ログ保存期間は開示請求の「タイムリミット」です。
Q ログ保存期間が過ぎてしまった場合、もう開示請求はできませんか?
A
通常のルートでは困難です。ただし、(1)サイト管理者がIPアドレス以外の情報(メールアドレスなど)を保持している場合、(2)投稿者が同一のハンドルネームを複数サービスで使用しており別ルートで特定できる場合、(3)刑事告訴により捜査機関が独自の方法で特定する場合は、可能性が残ります。
Q ログ保全請求(消去禁止請求)はどうやって行いますか?
A
ログ保全請求は弁護士を通じてプロバイダに書面で行うのが一般的です。プロバイダ責任制限法に基づき、開示請求の準備を行っている旨を伝え、ログの消去を一時的に停止するよう求めます。法的な強制力はありませんが、多くのプロバイダは保全請求に応じます。開示命令の申立てと同時に行うのが効果的です。
Q VPNを使った投稿のログ保存期間はどうなりますか?
A
VPN経由の投稿の場合、VPNサービス提供者のログ保存ポリシーが問題になります。「ノーログポリシー」を掲げるVPNサービス(NordVPN、ExpressVPN等)ではログが保存されていないため、投稿者の特定は極めて困難です。ただし、一部のVPNサービスは法執行機関の要請に応じてログを提供した事例もあります。
Q Wi-Fi(公衆無線LAN)からの投稿の場合はどうなりますか?
A
カフェやコンビニの公衆Wi-Fiからの投稿の場合、Wi-Fiアクセスポイントの管理者が接続ログを保存しているかがポイントです。大手チェーン(スターバックス、セブンイレブン等)は一定期間ログを保存していますが、保存期間は数日〜数週間と短い場合が多く、迅速な対応が必要です。
Q 携帯キャリアとMVNOでログ保存期間に違いはありますか?
A
はい、大きな違いがあります。大手3キャリア(NTTドコモ、au、SoftBank)は比較的長期間(3〜6ヶ月以上)のログを保存していますが、MVNOは設備が借り物であるため、ログ保存が不十分または期間が短い場合があります。MVNOの場合は回線を提供するキャリアのログに依存するケースもあります。

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