2022年改正プロバイダ責任制限法 対応 最終更新: 2026年4月4日

Instagram開示請求の方法と費用|アカウント特定までの流れ【2026年版】

Instagramで誹謗中傷を受けた場合、投稿者を特定するための「発信者情報開示請求」が有効な手段です。しかしInstagramはMeta社(米国法人)が運営しており、X(旧Twitter)とは異なる固有の難しさがあります。本記事では、Instagram特有のDM開示の困難さ、ストーリーの証拠保全、投稿タイプ別の開示可否、Meta社への送達手続きまで、他のサイトでは解説されていない実務レベルの情報を網羅的に解説します。

Instagramで開示請求が必要になるケース

Instagramは日本国内で約3,300万人が利用する写真・動画共有SNSであり、コメント欄やDM、ストーリーでの誹謗中傷が深刻な問題となっています。特に画像・動画を伴う誹謗中傷は拡散力が高く、被害が大きくなりやすい特徴があります。

違反類型 Instagramでの具体例 該当する法律 慰謝料の目安
名誉毀損 「〇〇は整形している」「不倫している」等をコメントやリールで拡散 刑法230条 / 民法709条 30万〜70万円
侮辱 「ブス」「キモい」等のコメント・ストーリーでのメンション 刑法231条(2022年厳罰化) 10万〜30万円
プライバシー侵害 本人の顔写真・自宅写真・位置情報の無断投稿 民法709条(判例法理) 30万〜100万円
脅迫 DMで「殺す」「家に行く」、コメントで「覚悟しろ」等 刑法222条 30万〜100万円
業務妨害 店舗アカウントへの虚偽口コミ・偽レビューの投稿 刑法233条 50万〜300万円(法人)
なりすまし 本人の写真を使った偽アカウントの作成・運用 不正競争防止法 / 民法709条 30万〜100万円

Instagramは画像・動画中心のプラットフォームであるため、文字だけのSNSと比べて以下の特殊な問題が発生します。

  • 画像加工による誹謗中傷:本人の写真を加工・合成して侮辱的な画像を作成するケース
  • ストーリーの一時性:24時間で消えるストーリーでの誹謗中傷は証拠保全が困難
  • リールの拡散力:アルゴリズムにより不特定多数に拡散され、被害が急速に拡大
  • なりすまし被害:顔写真を使った偽アカウントの作成がテキスト主体のSNSより容易

重要:InstagramのIPアドレスログ保存期間は約90日(3ヶ月)です。投稿を発見したら、証拠保全と弁護士への相談を即日〜1週間以内に開始することが成功の鍵です。ストーリーの場合は発見直後に画面録画で保全してください。

Instagram開示請求の全体像 — 手順フロー

Instagramでの開示請求は、大きく分けて4つのステップで進みます。X(旧Twitter)との最大の違いは、相手がMeta Platforms, Inc.(米国カリフォルニア州)である点です。

STEP 1

証拠保全(最重要)

投稿のスクリーンショット(URLバー入り)、ストーリーの画面録画、コメント前後の文脈を保存。Instagramはストーリーが24時間で消えるため、発見直後の保全が必須

STEP 2

Meta社へのIPアドレス開示請求

裁判所を通じてMeta Platforms, Inc.(米国法人)に対し、投稿者のIPアドレス・タイムスタンプ・ログイン情報の開示を求める。

STEP 3

プロバイダへの契約者情報開示請求

取得したIPアドレスからプロバイダ(NTT、KDDI、ソフトバンク等)を特定し、契約者の氏名・住所の開示を求める。

STEP 4

投稿者への法的措置

特定した投稿者に対し、損害賠償請求(慰謝料)・刑事告訴・投稿削除要請・示談交渉などを行う。

Meta社(Instagram運営)の対応体制

項目 内容
運営法人 Meta Platforms, Inc.(米国カリフォルニア州メンローパーク)。旧Facebook, Inc.(2021年10月社名変更)
日本法人 Facebook Japan合同会社(東京都港区)。ただし開示請求の窓口としては機能しないため、米国本社への手続きが必要
裁判書類の送達先 Meta Platforms, Inc.の米国登録代理人、またはFacebook Japan合同会社を経由(後述)
IPアドレスログ保存期間 約90日(公式非公開、実務上の目安)
開示への対応姿勢 日本の裁判所命令には応じるが、X社と比べて対応がやや遅い傾向。任意開示には原則応じない
ログイン情報の開示 2022年法改正で「ログイン時情報」の開示が明文化。電話番号・メールアドレスの取得が可能に
Instagram固有の注意点 Facebook・Instagram・Threadsのアカウントが統合されているため、どのサービスでの投稿かを明確にする必要がある

Meta社への送達手続き — Instagram固有のハードル

Instagram(Meta社)への開示請求における最大のハードルは、米国法人への裁判書類の送達です。この点がX(旧Twitter)との大きな違いであり、費用・期間に直接影響します。

送達方法の比較

送達方法 期間の目安 費用 特徴
Facebook Japan経由の国内送達 2〜4週間 数千円 Facebook Japan合同会社を「訴訟における送達受取人」として利用。最も安く早い方法だが、裁判所が認めるかは案件による
条約送達(ハーグ送達条約) 3〜6ヶ月 5万〜10万円 外務省を経由して米国の中央当局に送達を依頼する正規ルート。確実だが非常に時間がかかる
管轄内送達(米国代理人経由) 1〜2ヶ月 3万〜8万円 Meta社の米国における登録代理人(CT Corporation等)に直接送達。翻訳費用が別途必要
公示送達 2ヶ月以上 数千円 他の送達方法が不可能な場合の最終手段。裁判所の掲示板に掲示して送達とみなす

X社との送達手続き比較

比較項目 Instagram(Meta社) X(旧Twitter)
日本法人の対応力 Facebook Japan合同会社は開示手続きの窓口として限定的 X Japan合同会社が窓口として比較的機能
送達の容易さ 案件により国内送達が認められないケースあり X Japan経由の国内送達が比較的認められやすい
対応速度 やや遅い(1〜3ヶ月) 比較的早い(1〜2ヶ月)
送達にかかる追加費用 3万〜10万円(方法による) 数千円〜3万円
翻訳の要否 条約送達の場合は英語翻訳が必要 X Japan経由なら日本語で対応可能

実務上のポイント:Meta社への送達方法は担当弁護士の経験値によって対応が大きく変わります。Instagram・Meta社への開示請求の実績がある弁護士を選ぶことが、期間短縮・費用削減の最大の鍵です。

投稿タイプ別の開示可否と難易度(コメント/DM/ストーリー/リール/ライブ)

Instagramにはフィード投稿・ストーリー・リール・ライブ・DM・コメントなど多様な投稿タイプがあり、それぞれで開示請求の可否・難易度が大きく異なります。これはInstagram開示請求を検討する際に最も重要な知識です。

投稿タイプ 開示可否 難易度 証拠保全の注意点
フィード投稿(写真・動画) 可能 低い 投稿URL・キャプション・コメント欄を含めてスクショ。最も開示が認められやすい
コメント 可能 低い 投稿者名・コメント全文・日時を含めて保存。複数コメントは全体の流れも保全
リール(短尺動画) 可能 低い 画面録画で動画全体を保存。キャプション・コメント欄も別途スクショ
ストーリー 可能 中程度 24時間で消えるため即時保全が必須。画面録画+スクショのセットで保全
ストーリーハイライト 可能 低い プロフィールに残るため保全はしやすい。ただし投稿者が削除する前に保全を
インスタライブ(ライブ配信) 条件付き 高い リアルタイムの画面録画が唯一の証拠保全方法。配信終了後はアーカイブが残らない場合あり
DM(ダイレクトメッセージ) 原則不可 非常に高い 私的通信のためプロバイダ責任制限法の対象外。脅迫等は刑事手続きで対応
消えるメッセージ(バニッシュモード) 原則不可 非常に高い 既読後に自動消去されるため証拠保全が極めて困難。スクショ通知が相手に届く仕様にも注意
鍵アカウント(非公開)の投稿 条件付き 中程度 フォロワー数が一定数以上なら「不特定多数」とみなされる可能性あり

DM開示が困難な理由 — 法的根拠の詳細

InstagramのDMで誹謗中傷を受けた場合、多くの方が「開示請求できないのか」と疑問に思います。結論として、プロバイダ責任制限法に基づく開示請求はDMには適用されません。その理由は以下の通りです。

要件 フィード投稿・コメント DM(ダイレクトメッセージ)
「特定電気通信」該当性 該当する(不特定の者が受信可能) 該当しない(特定の者だけが受信)
プロバイダ責任制限法の適用 適用される 適用されない
開示請求の可否 可能 原則不可
代替手段 - 刑事告訴(脅迫罪・ストーカー規制法等)→ 捜査機関によるMeta社への照会

ただし、DMの内容が脅迫・ストーカー行為・児童ポルノ送信などの刑事犯罪に該当する場合は、刑事告訴を行うことで、捜査機関がMeta社に対して捜査関係事項照会を行い、発信者情報を取得できる可能性があります。

新制度vs旧制度 — Instagram開示請求における比較

2022年10月施行の改正プロバイダ責任制限法により新設された「発信者情報開示命令」は、Instagram(Meta社)への開示請求でも利用可能です。ただし、Meta社特有の事情により新制度の恩恵がX社ほど顕著でないケースもあります。

比較項目 新制度(開示命令) 旧制度(仮処分+訴訟)
手続きの回数 1回(Meta社+プロバイダを一括) 2回((1)Meta社への仮処分 → (2)プロバイダへの訴訟)
担保金 不要 10万〜30万円(供託、後日返還)
裁判所費用 約7,000円 約12.7万〜32.7万円
弁護士費用 35万〜55万円 45万〜70万円
送達費用(Meta社向け) 3万〜10万円 3万〜10万円(同額)
総額の目安 40万〜55万円 55万〜90万円
期間 4〜7ヶ月 8ヶ月〜1年以上
ログイン情報の開示 明文で認められる(電話番号・メールアドレス) 認められない場合あり

注意点:Instagramの場合、新制度を使ってもMeta社への送達に時間がかかるため、X社への開示請求より1〜2ヶ月長くなる傾向があります。また、Meta社が開示命令に対して異議を唱えるケースでは、旧制度を併用する必要が生じることもあります。

費用シミュレーション — 3パターンで試算

Instagram(Meta社)への開示請求にかかる費用を、3つの典型的なケースで試算します。費用全般については開示請求の費用記事も合わせてご覧ください。

パターン1:コメントでの名誉毀損 x 新制度(標準的なケース)

費目金額備考
弁護士 着手金30万円開示命令の申立て
弁護士 報酬金(成功報酬)20万円開示成功時のみ
裁判所費用(印紙+郵券)0.7万円開示命令の申立費用
送達関連費用5万円Meta社への送達(方法による)
実費(通信・交通・コピー)3万円弁護士事務所による
合計(投稿者特定まで)58.7万円新制度の標準的なケース

損害賠償請求で慰謝料40万円+弁護士費用4万円 = 44万円を回収できた場合、実質負担は約14.7万円

パターン2:ストーリーでの侮辱 x 新制度(証拠保全が鍵)

費目金額備考
弁護士 着手金30万円開示命令の申立て
弁護士 報酬金20万円開示成功時のみ
裁判所費用0.7万円開示命令
送達関連費用5万円Meta社への送達
実費3万円
合計(投稿者特定まで)58.7万円

侮辱罪の慰謝料相場は10万〜30万円のため、損害賠償で回収できる金額は限定的。費用倒れのリスクが比較的高いパターンです。ただしストーリーでの侮辱が繰り返されている場合は、被害の継続性が認定され慰謝料が増額される傾向があります。

パターン3:なりすまし被害 x 旧制度(複雑・高額なケース)

費目金額備考
弁護士 着手金(仮処分)30万円Meta社へのIPアドレス開示
担保金(供託、後日返還)20万円仮処分時に必要
弁護士 着手金(訴訟)25万円プロバイダへの開示訴訟
弁護士 報酬金25万円開示成功時
裁判所費用2.7万円仮処分+訴訟
送達関連費用8万円条約送達を利用した場合
翻訳費用3万円条約送達に伴う英語翻訳
実費4万円
合計97.7万円(担保金返還後: 77.7万円)

なりすまし被害は慰謝料30万〜100万円に加え、不正競争防止法に基づく損害賠償も請求可能なケースがあり、法人の場合は100万円以上の損害賠償が認められることもあります。

3パターンの比較まとめ

パターン 総額 慰謝料回収見込み 費用倒れリスク
コメント名誉毀損 x 新制度 約59万円 30万〜70万円 中程度
ストーリー侮辱 x 新制度 約59万円 10万〜30万円 高い
なりすまし x 旧制度 約78万円 30万〜200万円 中程度(法人はリスク低い)

Instagramへの開示請求は、X(旧Twitter)と比較して送達費用の分だけ10万〜15万円ほど高くなる傾向があります。X(旧Twitter)の開示請求ガイドの費用と比較して検討してください。

月別タイムライン — 開示請求の進行スケジュール

Instagram(Meta社)への開示請求は、送達手続きの複雑さからX社への開示請求より1〜2ヶ月長くかかる傾向があります。

新制度(開示命令)の場合:約4〜7ヶ月

時期 手続き内容 ポイント
0週目 証拠保全(スクショ・画面録画・URL保存) ストーリーは発見直後に画面録画。URLバー入りで保存
1〜2週目 弁護士相談・受任・着手金支払い Meta社への開示請求実績がある弁護士を選ぶ
1ヶ月目 開示命令+提供命令の申立て 裁判所に申立書・証拠を提出
1〜3ヶ月目 Meta社への送達・Meta社からの応答 送達方法により期間が大きく変動。Facebook Japan経由なら早い
3〜4ヶ月目 Meta社からIPアドレス・ログイン情報の提供 提供命令によりプロバイダ情報も取得
4〜5ヶ月目 プロバイダへの開示命令 プロバイダからの意見照会・審理
5〜7ヶ月目 開示命令発令 → 投稿者の氏名・住所が判明 報酬金の支払い

旧制度(仮処分+訴訟)の場合:約8ヶ月〜1年以上

時期 手続き内容 ポイント
0〜2週目 証拠保全・弁護士受任 着手金(仮処分分)支払い
1ヶ月目 Meta社へのIPアドレス開示仮処分申立て 担保金10〜30万円の供託が必要
1〜4ヶ月目 Meta社への送達・審理 条約送達を使うとこの段階で3〜6ヶ月かかることも
4〜5ヶ月目 仮処分決定・IPアドレス取得・プロバイダ特定 WHOIS等でプロバイダを特定
5〜6ヶ月目 プロバイダへの開示請求訴訟提起 着手金(訴訟分)支払い
8〜12ヶ月目 訴訟の審理・判決 プロバイダのログが消えていないか注意
12ヶ月〜 投稿者判明 → 法的措置 報酬金支払い・損害賠償請求の検討

ログ消失リスク:Meta社のIPアドレスログ(約90日)とプロバイダのアクセスログ(3〜6ヶ月)の二重の期限に注意が必要です。特に旧制度では送達に時間がかかるため、プロバイダへのログ保全請求(消去禁止命令の申立て)を早い段階で行うことが重要です。

開示が認められるケース・認められないケース

Instagram(Meta社)への開示請求が裁判所に認められるかどうかは、投稿内容・表現方法・被害の程度によって異なります。Instagram特有のケースを中心に整理します。

開示が認められる傾向にあるケース

ケース 投稿内容の例 認められる理由
コメントでの名誉毀損 「この人は詐欺師」「前科がある」等のコメント 具体的事実の摘示があり、社会的評価を低下させることが明白
なりすましアカウントの作成 本人の写真を使った偽プロフィールで不適切な投稿 肖像権・名誉権の侵害が複合的に認定される
プライベート写真の無断投稿 リベンジポルノ・自宅写真・子どもの写真の無断掲載 プライバシー権の侵害が明確。特にリベンジポルノは被害が甚大
リールでの執拗な誹謗中傷 特定人物を繰り返し名指しで批判する動画の投稿 動画の拡散性と継続性から被害の重大性が認定されやすい
店舗への虚偽レビュー投稿 「この店は食中毒を出した」(虚偽)をフィード投稿 営業上の損害が具体的に立証でき、業務妨害として認定

開示が認められにくい傾向にあるケース

ケース 投稿内容の例 認められにくい理由
サービスへの正当な批判 「この店は接客が悪かった」(体験に基づく感想) 正当な消費者としての意見表明で、表現の自由で保護される
漠然とした悪口(1回きり) 「ダサい」「センスない」等のコメント 権利侵害の程度が軽微で、開示の必要性が認められにくい
公人(インフルエンサー等)への批評 インフルエンサーの商品レビューへの否定的意見 公人は一般人より批判を受忍する範囲が広いとされる
対象が特定できない投稿 「あのジャンルの人たちは全員怪しい」 特定の個人への権利侵害と認定できない
DMでの中傷(民事の場合) DMで「バカ」「死ね」等の侮辱 プロバイダ責任制限法の対象外(私的通信のため)

判断に迷う場合:投稿が開示の対象になるかどうかは、Instagramの投稿タイプや公開範囲によっても結論が変わります。無料AI診断で初期判断を行い、弁護士に相談するのが効率的です。

開示請求されたらどうする?(加害者側の対応)

「Instagramの投稿について開示請求された」「プロバイダから意見照会書が届いた」という方もいます。ここでは加害者側の立場での対応を解説します。

「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いたら

プロバイダ(NTT、KDDI、ソフトバンク等)から「発信者情報開示に係る意見照会書」という書面が届きます。これは、あなたのInstagram投稿に対して開示請求がなされたことを意味します。

項目 内容
届く書面 「発信者情報開示に係る意見照会書」(プロバイダ責任制限法4条2項に基づく)
回答期限 通常2週間
回答の選択肢 「開示に同意する」「開示に同意しない(理由を記載)」
無回答の場合 「同意しない」と同じ扱いだが、裁判所の判断に影響する可能性がある
Instagram特有の注意 意見照会書に記載された投稿内容がInstagramのどのタイプ(コメント・フィード・ストーリー等)かを確認すること

取るべき対応のフローチャート

  1. まず落ち着く — 意見照会書が届いても、この時点であなたの個人情報は開示されていません
  2. 弁護士に相談する — 投稿内容を確認し、法的なリスクを評価してもらう(初回無料の事務所あり)
  3. 投稿内容を正確に確認する — 該当する投稿が名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害等に該当するか冷静に判断する
  4. 「開示に同意しない」旨を回答する場合 — 正当な理由(正当な批判、真実性の証明等)があれば記載する
  5. 示談を検討する場合 — 弁護士を通じて被害者側と示談交渉を行い、訴訟を回避する

やってはいけないこと

  • 意見照会書を無視する — 不利な結果(裁判所による開示決定)につながる可能性がある
  • 該当投稿やアカウントを削除する — 既に証拠保全されている可能性が高く、「証拠隠滅」とみなされて心証が悪化する
  • SNSで「開示請求された」と公表する — 相手方の訴訟戦略に利用される恐れがある
  • 被害者に直接DMを送る — 二次加害とみなされ、損害賠償額が増額されるリスクがある。Instagram上での接触は厳禁
  • アカウントを切り替えて反論する — 新たな誹謗中傷として追加の開示請求の対象になる

示談で解決する場合の流れ

投稿が違法であることを認める場合、早期の示談が最も合理的です。

ステップ 内容 費用の目安
1. 弁護士相談 リスク評価・示談の見通し確認 0円〜1万円
2. 示談交渉 弁護士を通じて和解条件を交渉 弁護士費用10万〜20万円
3. 示談金支払い 合意した金額を支払い、投稿削除・謝罪等を実施 10万〜50万円(投稿内容による)
合計 訴訟より大幅に安い 20万〜70万円

Instagram特有の証拠保全テクニック

Instagramの開示請求では証拠の質が成否を分けます。特にストーリーやライブ配信は消えやすいため、テキスト主体のSNSとは異なる保全テクニックが必要です。

投稿タイプ別の保全方法

投稿タイプ 保全方法 緊急度
フィード投稿 PCブラウザで投稿URLを開き、URLバー入りでスクショ。キャプション・コメント欄も別途保存 中(削除されるまで残る)
コメント 投稿者名・コメント全文・日時・前後の文脈を含めてスクショ 中(投稿者が削除可能)
ストーリー 画面録画(動画)+スクショの両方。アカウント名・時刻表示を含める 最高(24時間で消える)
リール 画面録画で動画全体を保存。URLをブラウザで開きURLバー入りスクショも取得 中(削除されるまで残る)
インスタライブ リアルタイムで画面録画するしか方法がない。配信者名・視聴者数・時刻を含める 最高(配信終了で消える可能性大)
DM メッセージ画面のスクショ。送信者名・日時を含める。バニッシュモードは既読前にスクショ 高(削除・消去される前に)

Instagram証拠保全の具体的な手順

  1. PCのブラウザ(Chrome推奨)でInstagramにログインし、該当投稿のURLを確認
    • フィード投稿のURL形式:https://www.instagram.com/p/投稿ID/
    • リールのURL形式:https://www.instagram.com/reel/投稿ID/
  2. URLバーを含めた画面全体をスクリーンショット(URL+投稿内容+日時+アカウント名が全て写るように)
  3. コメント欄がある場合は該当コメントまでスクロールして別途スクショ
  4. ストーリーの場合はスマートフォンの画面録画機能を使い、表示開始〜終了まで全体を録画
  5. 投稿者のプロフィールページも別途スクショ(アカウント名・フォロワー数・自己紹介文)
  6. 撮影日時を記録するため、端末の時計も画面内に含めるのが理想

補助的な保全方法

  • ウェブ魚拓megalodon.jp):Instagramの公開投稿ページのアーカイブを作成。第三者機関による保存で証拠価値が高い
  • Internet Archiveweb.archive.org):Wayback Machineでページを保存
  • Instagramのデータダウンロード:自分のアカウントの場合、設定画面から「情報をダウンロード」で受信したDMのデータを取得できる
  • 公正証書としての保全:被害が重大な場合、公証人による事実実験公正証書で保全すると証拠価値が最も高い(費用: 3万〜5万円)

ストーリー保全の鉄則:ストーリーは24時間で非表示になります。「後で保存しよう」は通用しません。発見したらその場で画面録画を開始し、録画開始時に端末の時計が映るようにしてください。スクリーンショット通知が相手に届くことはありません(ただし消えるメッセージのスクショは通知される仕様があります)。

よくある質問(FAQ)

Q.Instagramで開示請求するといくらかかりますか?

A.弁護士に依頼する場合、総額40万〜70万円が相場です。Meta社(米国法人)への送達が必要なため、国内サービスと比べて10〜20万円ほど高くなる傾向があります。2022年法改正後の新制度(開示命令)を利用すると担保金が不要になり、40万〜55万円に抑えられるケースもあります。詳しくは費用の詳細記事をご覧ください。

Q.Instagramのストーリーで誹謗中傷されました。24時間で消えた後でも開示請求できますか?

A.ストーリーは24時間で非表示になりますが、Meta社のサーバーには一定期間ログが残っているため、開示請求は可能です。ただしストーリーの証拠保全が極めて重要で、消える前にスクリーンショット・画面録画で保存しておく必要があります。消えた後の保全は困難なため、発見次第すぐに記録しましょう。

Q.InstagramのDM(ダイレクトメッセージ)でも開示請求できますか?

A.DMは当事者間の私的な通信であるため、プロバイダ責任制限法の適用対象外となり、開示請求は原則として認められません。ただし、DMの内容が脅迫に該当する場合は、刑事告訴を通じて捜査機関がMeta社に照会し、発信者情報を取得できる可能性があります。また、ストーカー規制法違反や児童ポルノ関連の場合も刑事手続きでの対応が可能です。

Q.Instagramの開示請求にはどのくらいの期間がかかりますか?

A.新制度(開示命令)を利用した場合は約4〜7ヶ月、旧制度(仮処分+訴訟)では8ヶ月〜1年以上が目安です。X(旧Twitter)と比べて1〜2ヶ月ほど長くかかる傾向があります。これはMeta社の日本法人がない(国内窓口が限定的)ことや、送達手続きに時間を要することが理由です。

Q.鍵アカウント(非公開アカウント)からの誹謗中傷でも開示請求できますか?

A.条件付きで可能です。裁判所は非公開アカウントであっても、フォロワー数が一定数以上いれば「不特定多数」への情報発信とみなす傾向があります。フォロワー数や投稿の閲覧可能範囲が争点になりますが、フォロワーが数十人以上いるケースでは開示が認められた裁判例もあります。フォロワーリスト画面のスクリーンショットも証拠として保全しておくことが重要です。

Q.開示請求されたらInstagramのアカウントは凍結されますか?

A.開示請求だけではアカウントは凍結されません。開示請求はあくまで「投稿者の情報を開示してほしい」という手続きであり、Meta社に対してアカウントの停止を求めるものではありません。ただし、Instagramのコミュニティガイドラインに違反する投稿については、別途Meta社に通報(報告)することで投稿の削除やアカウントの制限が行われる可能性はあります。

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※弁護士資格による法的助言ではありません。詳しくは弁護士にご相談ください。

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