2022年改正プロバイダ責任制限法 対応 最終更新: 2026年10月8日

名誉毀損で刑事告訴する方法【2026年版】成立要件・告訴状の出し方・親告罪の期限

この記事の結論

名誉毀損罪・侮辱罪の成立要件と法定刑を刑法の条文で解説。告訴は犯人を知った日から6か月以内(刑事訴訟法235条)、提出先は警察署または検察庁(同法241条)です。弁護士費用は事務所ごとに異なるため、本記事では相場を断定しません。

ネットの誹謗中傷について「刑事告訴したい」と考えている方へ。本記事では名誉毀損罪・侮辱罪の成立要件と法定刑(条文ベース)・告訴状の提出先と流れ・親告罪と告訴期間(6か月)・民事訴訟との違いと併用・弁護士費用の考え方・実在する相談窓口まで、刑法・刑事訴訟法の条文に基づいて解説します。弁護士費用や慰謝料の「相場」を断定する数字は、出典が確認できないため本記事には記載していません。

名誉毀損罪 vs 侮辱罪 vs 脅迫罪 — 条文で見る構成要件と法定刑

ネット上の誹謗中傷で刑事告訴を検討する場合、どの犯罪に該当するかの判断が出発点になります。投稿内容によって適用される罪名が異なり、いずれも刑法(明治40年法律第45号)に規定されています。

比較項目名誉毀損罪(刑法230条)侮辱罪(刑法231条)脅迫罪(刑法222条)
行為の内容 公然と事実を摘示して名誉を毀損 公然と事実を摘示せずに侮辱 生命・身体・自由・名誉・財産に対する害悪の告知
具体例(イメージ) 「Aは脱税している」等、具体的な事実の摘示 「バカ」「無能」等、抽象的な侮辱の言葉 「殺す」等、加害を告げる文言
事実の摘示 必要(刑法230条) 不要(刑法231条) 不要(害悪の告知が要件)
公然性 必要(不特定多数が認識しうる状態) 必要(不特定多数が認識しうる状態) 不要(1対1でも成立しうる)
法定刑 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
親告罪(告訴が必要) はい(刑法232条) はい(刑法232条) いいえ
告訴期間 犯人を知った日から6か月(刑事訴訟法235条) 犯人を知った日から6か月(同左) なし(告訴不要)
公訴時効 3年(刑事訴訟法250条2項6号) 3年(同左) 3年(同左)

重要:法定刑にある「拘禁刑」は、2025年6月1日施行の刑法改正で従来の「懲役」「禁錮」が一本化された現行の呼び方です。どの罪に当たるかによって告訴の可否や告訴期間の考え方が変わるため、判断に迷う場合は弁護士に相談してください。詳しい成立要件は次の名誉毀損罪・侮辱罪の各セクションで解説します。(出典:e-Gov法令検索「刑法」)

名誉毀損罪の成立要件 — 詳細解説

3つの構成要件(刑法230条)

要件条文の内容SNS上でのイメージ注意点
1. 公然と 不特定多数が認識しうる状態で行うこと 公開投稿、掲示板への書き込みなど 鍵アカウントでもフォロワーが多数いる場合は該当しうると考えられています
2. 事実を摘示し 具体的な事実を示すこと 特定の出来事や行為を名指しで示す投稿 刑法230条は「その事実の有無にかかわらず」と定めており、摘示した事実が真実であっても成立しうる点に注意が必要です
3. 名誉を毀損した 人の社会的評価を低下させること 投稿によって信用・評判が損なわれるおそれがある状態 実際に評価が下がったことの証明までは求められず、低下させうる内容であれば足りると解されています

違法性阻却事由(名誉毀損罪が成立しない場合)

以下の3条件をすべて満たす場合、名誉毀損罪は成立しません(刑法230条の2)。

条件条文の内容
1. 公共の利害に関する事実 摘示した事実が公共の利害に関係すること(未起訴の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなされます=刑法230条の2第2項)
2. 専ら公益目的 摘示の目的が専ら公益を図ることにあること
3. 真実であることの証明 摘示した事実が真実であることが証明されたこと

告訴を検討する際は、相手がこの抗弁を主張できるかどうかも含めて弁護士に確認してもらうことが重要です。相手の投稿がこの3条件を満たすと判断されれば、告訴しても罰せられない(不起訴になる)可能性があります。(出典:e-Gov法令検索「刑法」230条・230条の2)

侮辱罪の成立要件と2022年の厳罰化

侮辱罪(刑法231条)は、事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱すれば成立する点が名誉毀損罪と異なります。「バカ」「無能」といった抽象的な言葉による中傷は、具体的な事実の摘示がないため名誉毀損罪ではなく侮辱罪の検討対象になります。

2022年7月7日施行・侮辱罪の厳罰化:「刑法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第67号、2022年6月17日公布)により、侮辱罪の法定刑が引き上げられました。従来は「拘留(30日未満の身体拘束)又は科料(1万円未満の金銭刑)」のみでしたが、この改正で「懲役・禁錮又は30万円以下の罰金」が追加されています。さらに2025年6月1日施行の刑法改正で「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に一本化され、現行の条文は「1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、又は拘留もしくは科料」です。この結果、公訴時効が1年から3年に延び、告訴期間(犯人を知った日から6か月)の適用に変わりはありません。(出典:e-Gov法令検索「刑法」231条・改正履歴)

侮辱罪も名誉毀損罪と同じ第34章「名誉に対する罪」に含まれるため、親告罪であり(刑法232条)、告訴期間は犯人を知った日から6か月です(刑事訴訟法235条)。どちらの罪に当たるかは投稿内容によって異なり、両方を選択的に告訴の対象とすることもできます。判断が難しい場合は弁護士に相談してください。用語の詳しい解説は用語辞典「名誉毀損」・「名誉感情」もあわせて参照してください。

告訴状の書き方 — 必須記載事項チェックリスト

告訴状は「犯罪を申告し、処罰を求める」ための書面です。告訴は書面(告訴状)のほか口頭でも行うことができ、口頭の場合は検察官または司法警察員が調書を作成します(刑事訴訟法241条)。もっとも、要件を正確に伝え、証拠を体系的に示すためには書面の告訴状を用意するのが実務上一般的で、弁護士に作成を依頼する方法もあります。

告訴状の必須記載事項

記載事項内容記載例注意点
表題 「告訴状」と記載 告 訴 状 「被害届」とは異なる正式な書類
宛先 提出先の警察署長または検察官 ○○警察署長 殿 被告訴人の住所地の管轄警察署が一般的
告訴人情報 氏名・住所・連絡先 住所、氏名、電話番号 法人の場合は代表者名も記載
被告訴人情報 氏名・住所(開示請求で判明したもの) 開示で得た氏名・住所 不明な場合は「氏名不詳」でも受理されうるとされています
告訴の趣旨 被告訴人の処罰を求める旨の記載 「被告訴人の処罰を求め、告訴します」 この一文がないと告訴として扱われないことがあります
被害事実 いつ・どこで・誰が・何を・どのように 「令和○年○月○日、○○上で……」 投稿URLと日時を正確に記載
適用法条 該当する犯罪の条文 「刑法第230条第1項(名誉毀損罪)」 複数の罪に該当する可能性がある場合はすべて記載
証拠資料 投稿のスクリーンショット、開示結果など 証拠説明書を添付して一覧化 URLと投稿日時が分かる形で保存する

告訴状に添付する証拠の例

証拠取得方法ポイント
投稿のスクリーンショット URLと投稿日時が分かる状態で保存 前後の文脈も含めて複数枚保存しておく
投稿者の特定情報 開示請求の結果(裁判所の決定書等の写し) 開示で得た氏名・住所等を証拠として添付
被害状況を示す資料 診断書、業務への影響を示す記録など 被害の内容を客観的に示せるものがあれば有用
投稿の拡散状況 反応数・閲覧数等が分かるスクリーンショット 被害の広がりを示す補足資料になる

この一覧は誰にでも共通する例であり、実際に必要な証拠は事案によって異なります。証拠の整理方法は証拠保全の方法も参照してください。

告訴状の提出先 — 警察署と検察庁

告訴は、検察官または司法警察員(警察官)に対して行います(刑事訴訟法241条1項)。実務上は被告訴人の住所地などを管轄する警察署に提出することが多いですが、検察庁(地方検察庁)に直接提出することも法律上可能です。警察に提出した場合、司法警察員はこれに関する書類と証拠物を速やかに検察官へ送付しなければならないと定められています(同法242条)。

実務上は、投稿のスクリーンショットや被害状況を示す資料など証拠を整理してから提出すること、開示請求で投稿者の氏名・住所が判明している場合はその結果(決定書等)を併せて示すことが、その後の手続きを進めるうえで役立ちます。告訴状の記載内容や証拠の整理方法について、提出前に弁護士へ相談することもできます。

手続きが進まないと感じた場合

  1. 告訴の権利を根拠に相談する:告訴は検察官または司法警察員に対して行うことができると刑事訴訟法241条に定められています
  2. 公安委員会への苦情申出:都道府県警察の職員の職務執行に苦情がある場合、都道府県公安委員会に対し、国家公安委員会規則で定める手続きに従って文書で苦情を申し出ることができます(警察法79条)
  3. 検察庁への提出に切り替える:警察署ではなく、検察庁(地方検察庁)の検察官に告訴状を提出する方法もあります(刑事訴訟法241条)

サイバー関連の相談窓口は相談窓口のセクションでまとめて紹介しています。

開示請求後の刑事告訴 — 手続きの流れ

発信者情報開示請求で投稿者が特定できた場合、刑事告訴を検討する一般的な流れは次のとおりです。かかる期間は事案ごとに大きく異なるため、本記事では具体的な月数は記載していません。

STEP 1

弁護士への相談(任意)

開示結果や手元の証拠をもとに、告訴の可否や進め方を相談します。相談は必須ではありませんが、証拠の整理や適用法条の判断に役立ちます。

STEP 2

告訴状・証拠説明書の準備

被害事実、適用法条、証拠を整理します(告訴状の書き方を参照)。

STEP 3

警察署または検察庁への提出

告訴状(または口頭の告訴)を提出します(刑事訴訟法241条)。犯人を知った日から6か月以内に行う必要があります(同法235条)。

STEP 4

捜査

警察(または検察)が被告訴人への取調べなど必要な捜査を行います。警察が受理した場合、書類・証拠物は速やかに検察官へ送付されます(同法242条)。

STEP 5

起訴・不起訴の判断と告訴人への通知

検察官が公訴を提起するかどうかを判断し、結果を告訴人に速やかに通知します(同法260条)。不起訴の場合、請求すれば理由の告知を受けられます(同法261条)。

STEP 6

公判(起訴された場合)

起訴されると、裁判所での審理・判決に進みます。

最重要:告訴期間の6か月は「犯人を知った日」から起算されます(刑事訴訟法235条)。開示請求で投稿者の住所・氏名が判明した日がこの起算点です。開示結果を受け取ったら、6か月以内に告訴の準備を進めてください。この期間を過ぎると原則として告訴できなくなります。

民事訴訟との併用戦略 — どちらを先にやるべきか

刑事告訴と民事訴訟(損害賠償請求)は別の手続きであり、同時に進めることも可能です。どちらを先にするか、併用するかによって進め方が変わります。

戦略考えられるメリット考えられるデメリット向いているケース
1. 刑事告訴のみ 加害者の処罰を求められる。告訴状の提出自体に手数料はかからない 金銭的な回収はできない 処罰感情が強く、金銭回収は求めない場合
2. 民事訴訟のみ 慰謝料・損害賠償を請求できる 加害者への刑事的な抑止力は生じない 経済的な損害の回復が主な目的の場合
3. 刑事先行、その後に民事 捜査で得られた情報を民事の証拠として活用できる場合がある 全体の期間が長くなりやすい 処罰と金銭回収の両方を求める場合
4. 民事先行、その後に刑事 民事の証拠収集が告訴に活用できる場合がある 告訴期間(6か月)の制約に注意が必要 先に経済的な解決を優先したい場合
5. 刑事・民事を同時進行 処罰と金銭回収の両方を並行して追求できる 手続きが重複し、時間的な負担が大きくなる 被害が深刻で、双方の解決を同時に求める場合

「刑事告訴のあとに示談」という進め方

名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪(告訴がなければ起訴できません)です。この特性を踏まえた「告訴、示談交渉、告訴取下げ」という進め方は実務上よく用いられます。

  1. 刑事告訴を行う
  2. 加害者側との示談交渉に入る(弁護士を通じて行うのが一般的)
  3. 謝罪や再発防止の誓約など、双方が納得できる条件で合意を目指す
  4. 示談成立後、告訴を取り下げる(取り下げは公訴提起前のみ可能。刑事訴訟法237条)

この進め方は、告訴自体が生じさせる心理的なプレッシャーを利用して示談交渉を進める目的で用いられることがありますが、具体的にどの程度示談条件に影響するかは事案によって異なり、一律の傾向として断定できるものではありません。誹謗中傷の慰謝料についての考え方はこちらの記事で解説しています。

不起訴になるケースと対抗手段

名誉毀損罪で告訴しても、すべてのケースで起訴されるとは限りません。不起訴となる理由にはいくつかの典型的なパターンがあります。

不起訴の理由内容対策として考えられること
起訴猶予 犯罪は成立するが、犯人の性格・年齢・境遇や犯罪の軽重・情状、示談成立などを踏まえて起訴の必要がないと判断される場合 示談条件に納得できるまで取下げを急がない
嫌疑不十分 犯罪の立証に必要な証拠が不十分と判断される場合 告訴前に証拠を整理し、弁護士に充足度を確認してもらう
嫌疑なし 犯罪自体が成立しないと判断される場合 告訴前に犯罪成立の可否を弁護士に確認してもらう
告訴取下げ 告訴人が告訴を取り下げた場合(示談成立等) 親告罪では取下げにより不起訴となる(刑事訴訟法237条)
違法性阻却 公益目的かつ真実性が認められ、違法性が否定される場合(刑法230条の2) 相手の投稿が本当に公益目的といえるか弁護士に分析してもらう

不起訴になった場合の対抗手段

手段内容手数料
1. 検察審査会への申立て 検察審査員11人(選挙権を有する者からくじで選定。検察審査会法4条)が起訴の当否を審査します。8人以上の多数で「起訴を相当とする」議決(同法39条の5)がなされ、検察官の再検討後も不起訴のままだった場合は再度審査が行われ、同様の議決(起訴議決)がなされると、裁判所が指定した弁護士(指定弁護士)により起訴されます(同法41条・41条の2・41条の6・41条の9) 申立てに手数料の定めはありません
2. 不起訴理由の開示請求 検察官に対し、公訴を提起しない処分の理由の告知を求めることができます(刑事訴訟法261条) 手数料の定めはありません
3. 民事訴訟に注力 刑事で不起訴となっても、民事の損害賠償請求は別の手続きとして可能です 別途、弁護士費用等が必要(弁護士費用の考え方を参照)

弁護士費用の考え方 — 相場を断定できない理由

弁護士の報酬は、個々の弁護士がその基準を定めるものであり、日本弁護士連合会も「標準小売価格というようなものはありません」と説明しています。同じ内容の依頼でも、事務所や事案の複雑さによって金額は異なります。ネット上には「○万円が相場」といった記載も見られますが、本記事では公式に確認できる出典がない数字を断定して記載することはしません。(出典:日本弁護士連合会「弁護士費用(報酬)とは」)

重要:正確な金額は、依頼を検討している弁護士に直接、見積りと費用の内訳(相談料・着手金・報酬金の有無や条件など)を書面で確認してください。複数の事務所に見積りを依頼して比較することもできます。

告訴状の提出そのものに、警察や検察への手数料は定められていません。弁護士に作成や提出への同行を依頼する場合は、その弁護士費用が別途必要になります。

開示請求(投稿者の特定)にかかる費用については開示請求の費用相場、期間については開示請求の期間の記事で解説しています。誹謗中傷の慰謝料の考え方は誹謗中傷の慰謝料を参照してください。

刑事告訴のメリット・デメリット

メリット詳細
加害者への抑止力 刑事事件になりうるという事実そのものが、民事とは異なる心理的な圧力になりうると考えられています
示談交渉の材料になりうる 起訴を避けたいと考える加害者が、示談に応じやすくなる場合があります
告訴状の提出に手数料はかからない 民事訴訟のような裁判所への手数料の定めはありません(弁護士に依頼する場合は別途弁護士費用が必要です)
前科の記録が残りうる 有罪判決が確定すれば前科がつき、社会的な制裁の効果があるとされています
捜査機関の力を借りられる 警察・検察の捜査権限を利用でき、告訴人自身では難しい証拠収集が可能になる場合があります
デメリット詳細
起訴されるとは限らない 起訴猶予など様々な理由で不起訴となることがあります(不起訴になるケースを参照)
捜査や判断に時間がかかることがある 告訴から起訴・不起訴の判断まで、事案によっては相応の期間を要します
被害者のプライバシーも記録される 事情聴取で被害者側の情報も調書に記録されます
親告罪の告訴期間の制約 犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要があります(刑事訴訟法235条)

時効と告訴期間の注意点

期間名誉毀損罪侮辱罪脅迫罪起算点
公訴時効 3年 3年 3年 犯罪行為が終わった日(投稿日)。長期5年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪はいずれも3年(刑事訴訟法250条2項6号)
告訴期間(親告罪) 6か月 6か月 なし(親告罪ではない) 犯人を知った日(刑事訴訟法235条。開示請求で判明した日が起点になるのが通常)
民事(損害賠償請求権)の時効 3年 3年 3年 損害及び加害者を知った時(民法724条1号。不法行為の時から20年で別途消滅)

最重要:名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪であり、告訴がなければ検察官は公訴を提起できません(刑法232条)。告訴できる期間は「犯人を知った日」から6か月です(刑事訴訟法235条)。開示請求で投稿者の住所・氏名が判明した日から数えるため、開示結果を受け取ったら早めに告訴の準備を進めてください。

示談と告訴取下げの戦略

名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪のため、告訴の取下げを条件とした示談交渉が実務上よく用いられます。

判断のポイント取り下げを検討してよい場合取り下げないほうがよい場合
示談条件への納得感 謝罪や賠償の内容に双方が納得できた 相手の提示条件に納得できない
相手の反省 真摯な謝罪と再発防止の誓約がある 反省が見られない、形式的な謝罪にとどまる
再犯の可能性 初犯で再犯の可能性が低いと考えられる 過去にも同様の投稿を繰り返している
処罰感情 示談による解決で気持ちが収まる 処罰されなければ気が済まない
手続きの負担 これ以上の時間・費用をかけたくない 時間や費用をかけてでも手続きを続けたい

注意:一度取り下げた告訴を再び行うことはできません(刑事訴訟法237条)。公訴が提起される前であれば取り下げられますが、取消しの判断は慎重に行ってください。

相談窓口

刑事告訴を検討する前後を問わず、次のような公的な相談窓口があります。弁護士以外にも、こうした窓口をあわせて活用できます。

窓口内容連絡先
警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」 SNSや掲示板での誹謗中傷を含むサイバー事案の通報・相談・情報提供。都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口・警察署一覧も掲載 警察庁 サイバー事案に関する相談窓口
法テラス(日本司法支援センター) 法的トラブル全般の相談窓口。弁護士等との法律相談の予約も可能 法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時から21時、土曜9時から17時)。法テラス公式サイト
法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル 犯罪被害に遭った方向けの相談窓口 0120-079714(平日9時から21時、土曜9時から17時)
法務省人権擁護局「人権相談」 インターネット上の誹謗中傷を含む人権問題の相談。みんなの人権110番のほかインターネット相談も掲載 みんなの人権110番 0570-003-110。法務省 人権相談

電話受付時間や案内内容は変更される場合があります。利用前に各公式サイトで最新情報を確認してください。

出典・参考情報

弁護士費用は事務所により異なります。日本弁護士連合会「弁護士費用(報酬)とは」は、弁護士の費用は個々の弁護士が基準を定めるものであり標準小売価格に相当するものはないと説明しています。本記事はこの制度の枠組みに基づき、金額の断定を避けて解説しています。正確な費用は依頼予定の弁護士に直接お問い合わせください。慰謝料・示談金・起訴される割合等についても、公式統計等で裏付けられない数値は本記事に記載していません。

よくある質問(FAQ)

Q.名誉毀損罪で刑事告訴するために必要なものは何ですか?

A.告訴状(または口頭での告訴)を、検察官または司法警察員(警察官)に提出します(刑事訴訟法241条)。多くの場合は被告訴人の住所地などを管轄する警察署に提出しますが、検察庁に直接提出することもできます。告訴状には被害事実(いつ・どこで・誰が・何を投稿したか)、適用法条(刑法230条など)、証拠(投稿のスクリーンショットやURLなど)を記載します。警察が受理した場合、司法警察員は書類と証拠物を速やかに検察官へ送付する決まりです(同法242条)。

Q.名誉毀損罪の成立要件は何ですか?

A.刑法230条により、(1)公然と、(2)事実を摘示し、(3)人の名誉を毀損したという3つの要件を満たすと成立します。摘示した事実の真偽は問われません(同条は「その事実の有無にかかわらず」と定めています)。ただし、その事実が公共の利害に関し、専ら公益を図る目的で行われ、真実であることが証明されたときは処罰されません(刑法230条の2)。法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

Q.侮辱罪との違いは何ですか?2022年の法改正で何が変わりましたか?

A.侮辱罪(刑法231条)は、事実を摘示しなくても公然と人を侮辱すれば成立する点が名誉毀損罪と異なります。2022年7月7日施行の改正(令和4年法律第67号)で法定刑が引き上げられ、従来の拘留・科料に加えて懲役・禁錮(2025年6月1日施行の刑法改正で「拘禁刑」に統合)または30万円以下の罰金が加わりました。現行の条文は「1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、又は拘留もしくは科料」です。

Q.刑事告訴と民事訴訟(損害賠償請求)は同時に行えますか?

A.はい、別の手続きのため同時に進めることも、順番に進めることも可能です。名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪(刑法232条)のため、示談が成立して告訴を取り下げれば、検察官はその事件を起訴できなくなります。刑事と民事のどちらを先に進めるか、あるいは並行するかは、証拠の状況や希望する解決内容によって異なるため、弁護士に相談して決めるのが一般的です。

Q.弁護士費用はいくらかかりますか?

A.弁護士報酬は個々の弁護士(法律事務所)が定めるものであり、日本弁護士連合会も「標準小売価格というようなものはありません」と説明しています。告訴状の提出そのものに警察・検察への手数料は定められていませんが、弁護士に作成や提出への同行を依頼する場合は別途弁護士費用が必要です。金額は依頼前に見積りと内訳(着手金・報酬金の有無や条件など)を書面で必ず確認してください。開示請求(投稿者の特定)にかかる費用については開示請求の費用相場で解説しています。

Q.名誉毀損罪の時効はどれくらいですか?

A.公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号。長期5年未満の拘禁刑または罰金に当たる罪に該当し、投稿など犯罪行為が終わった日から起算)。告訴できる期間は、親告罪のため犯人を知った日から6か月です(刑事訴訟法235条)。開示請求で投稿者が判明した日が起算点になるため、判明後は速やかに告訴の準備を進める必要があります。

Q.告訴が受理された後、取り下げることはできますか?

A.公訴が提起されるまでは取り下げることができます(刑事訴訟法237条)。ただし、一度取り下げた告訴を再び行うことはできません(同条)。示談交渉の結果を踏まえて取り下げるかどうかを判断するのが一般的ですが、取り消した後は後戻りできない点に注意が必要です。

Q.不起訴になった場合、対抗手段はありますか?

A.検察官が公訴を提起しない処分をしたときは、告訴人の請求により理由の告知を受けられます(刑事訴訟法261条)。また、検察審査会に審査を申し立てることができます(検察審査会法2条2項)。検察審査員11人(同法4条)のうち8人以上の多数で「起訴を相当とする」議決がなされ(同法39条の5)、検察官が再検討した後も不起訴のままだった場合には再度審査が行われ、同様の議決(起訴議決)がなされると、裁判所が指定した弁護士(指定弁護士)により起訴されます(同法41条・41条の2・41条の6・41条の9)。刑事で不起訴となっても、民事の損害賠償請求は別の手続きとして可能です。

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※弁護士資格による法的助言ではありません。詳しくは弁護士にご相談ください。

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